亡くなった方が所有していた不動産の名義を、被相続人から相続人に書き換えることを、相続登記と呼びます。相続原因が発生した際は、できるだけ早く手続きを行うよう定められています。では、具体的にいつまでに行えば良いのかですが、その点に関しては明確に期日が設けられておりません。
ですから、相続登記を何年も先送りにすることは事実上可能です。しかし、先延ばしにすることで、手続きの難易度が高くなるケースがあるため、早めに済ませておいた方が賢明です。法務局で行う所有権の移転申請自体の難易度は変わりませんが、添付書類の遺産分割協議書や、相続関係説明図の作成が複雑化します。
例えば遺産分割協議書では相続人全員の署名や実印での押印、ならびに印鑑証明書の添付が求められ、もしも相続人が既に亡くなり、その息子や孫の代になっている場合では、連絡を取らなければならない人物が増えたり、複雑になる恐れがあります。
ですから相続人を把握しやすい間に、所有権の移転申請を行うのが大切です。ただし、固定資産税の手続きは必要ですので、相続登記が遅れる場合は、相続人から代表者を1名定め、管轄窓口で納税継承申請を行います。一方、不動産の登記申請は弁護士や司法書士といった専門家のほか、相続人本人でも申請可能です。
手続きでは当該不動産の課税標準額証明書をはじめ、被相続人の出生から亡くなるまでの連続した戸籍全部事項証明書や改正原戸籍などが必要になり、それらの取得にも時間が掛かりますから、早めに取り掛かった方が良いでしょう。